五木の子守歌

おどま盆ぎり 盆ぎり 盆から先ゃおらんど

盆が早よ来りゃ 早よもどる 


おどまかんじんかんじん あん人達ゃよか衆(しゅう)

よかしゃよか帯(おび) よか着物(きもん) 


おどんが打死(うっちん)だちゅて 誰(だい)が泣(にゃ)てくりゅきゃ

裏の松山 蝉(せみ)が鳴く


蝉じゃごんせぬ  妹(いもと)でござる

妹泣くなよ 気にかかる


おどんが打死(うっちん)だば 道端(みちばた)いけろ

通る人ごち 花あぎゅう


花はなんの花 つんつん椿

水は天から 貰い水 

 盆ぎりについては他の歌詞と違和感がある。どうも1番とか2番とかではなくいろいろな歌詞の寄せ集めであるらしい。


夕焼小焼の、赤とんぼ

負われて見たのは、いつの日か

山の畑の、桑(くわ)の実を

小籠(こかご)に摘んだは、まぼろしか


十五で姐(ねえ)やは、嫁に行き

お里のたよりも、絶えはてた

夕焼小焼の、赤とんぼ

とまっているよ、竿(さお)の先


 子守された側の唄です。かんじんは奇々怪々な解釈がありまして、韓人=韓国人である説、確か韓国の成立は戦後。かんじんとは非人のことであり、非人非人が正しく被差別部落の歌である説。う~~む。ヒニンヒニン以外にどう読むのだろう。何でも『シャベチュ』ですか。


 熊本では『か』と『くぁ』明確に区別されており、くぁんじん=勧進(物乞い)のことと言う。勧進=寄付、が転じたようだ。確かに、今も怪しい寄付勧誘行為があるから、昔もあったのだろう。


 愚考するに 『私は(他人の飯を食っている)勧進のようなもの』。辛いもんだよ他人の飯は、と言う歌詞もある。それに比べて『あん人達ゃよか衆(しゅう)』(うらやましい)。唄は李香蘭の歌声が良かった。