短歌集Ⅱ



5番街のマリーへの歌くちずさむ 山茶花の咲く街路に独り

あれこれと悩むことのみ多くして 抜歯痕の傷痛みは去らず


落ち葉さえ吹きだまりいる冬の日に 独りの道を行きなむとする

肌を刺す吹きすさぶ風荒れる海 夜には雪も降るとの予報

濃緑のうねりは高く波砕く 車窓の外に日本海見ゆ

推論はやがてひとつに纏まって 夕日が包む僕の愚かさ

今日もまた色いろ悩む日にあるが 金曜日だよと携帯画面 


花の海千尋の底で宴を張る 妻よ今年もどうぞよろしく

夏の日の乙女のごとき匂いする新穂孕める水田を行く 

ときはまだ充ち足りざるか龍の湖 実験機材求めてあるに


熱る(いきる)日は花盗人にもなりたくて 君のハートも盗んでみたい 

生まれ出ず時より共に在りし君 君を愛すと言うは難(かた)しも 

生まれ出ず時より前に在りし君 君を愛すと言うも難(むずか)し


積もる雪 踏みしめて行く薬師堂  病気平癒の祈り儚(はかな)く 

とにかくに嘆きばかりが口に出る  雪降る朝の挨拶はみな

この浦になぎ待つ船の多くいて  波静まれば海を渡らん


夏の日の乙女のごとき匂いする 新穂孕まむ水田を行く

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